こんにちは、印西総合病院、地域連携室です!
今回は、よくお問い合わせいただく、「回復期リハビリテーション病棟」と「地域包括ケア病棟」の違いを解説したいと思います。
どちらも、急性期病院で治療後の患者さんを受け入れているため「違いがわかりにくい」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その違いを簡単にまとめると、次のようになります。
回復期リハビリテーション病棟 | 地域包括ケア病棟 | |
①主な目的 | 急性期治療後の患者さんの在宅復帰 | 急性期治療後または在宅療養中に悪化した患者さんの在宅復帰 |
②対象患者 | 対象となる疾病あり | 対象となる疾病がない |
③入院日数上限 | 最長180日(疾病による) | 最長60日 |
④病棟で行うこと | 「発症以前の状態」を目指すリハビリテーション | 患者さんが持つ疾患に対する治療とリハビリテーション |
では、それぞれの違いが持つ意味は、どのようなことなのでしょうか。
各項目について、さらにくわしくチェックしてみましょう!
①病棟の目的
回復期リハビリテーション病棟:
急性期病院で治療を終えたものの、すぐにご自宅へ復帰するには不安がある方を対象に、引き続き治療とリハビリテーションを必要とする方を受け入れ、早期の在宅復帰を目指します。
地域包括ケア病棟:
ご自宅または施設で急に具合が悪くなった方、急性期病院で症状が安定したもののすぐに在宅復帰することに不安な方、症状に不安があるため集中してリハビリテーションを受けたい方、レスパイトケアをご希望の方などを受け入れ、在宅復帰を目指します。
【☝️ポイント】
リハビリテーション重視の回復期/地域で長く安心して暮らすことに特化した地域包括ケア
どちらの病棟とも、主に急性期病院からの患者さんを受け入れ、在宅復帰を目指しています。
当院ではどちらの病棟でもリハビリテーションを積極的に実施しますが、回復期リハビリテーション病棟では、より重点的なリハビリ提供で改善を図ることが特長です。
地域包括ケア病棟は、在宅療養中の方の受け入れや、介護疲れなどの一時休息として(レスパイトケア)ご利用いただけるなど、安心して地域で暮らす準備をするため、という性格が強いことが特長と言えます。
当院各病棟の紹介はこちらからご覧いただけます👇
印西総合病院 病棟のご紹介
※回復期とは?
脳血管障害や骨折の手術などのため急性期で治療を受けて、病状が安定し始めた発症から1~2カ月後の状態を言います。 この時期に集中的なリハビリテーションを行うことで低下した能力を再び獲得するための病棟を回復期リハビリテーション病棟と言います。
※地域包括ケアとは?
団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムのことです。(厚生労働省HPより引用)
②対象となる患者さん
回復期リハビリテーション病棟:
・脳血管疾患または大腿骨頚部骨折などの、厚生労働省が対象と定めた疾患を持つ方
・なおかつ、上記の治療を急性期病院で終えたものの、ご自宅へ復帰するには不安があり、引き続き治療とリハビリテーションを必要とする方
※入院には専門の医師による判断が必要です。
【☝️ポイント】
重点的・専門的なリハビリテーションを必要とする患者さんが利用できるように、対象となる疾患と、それに応じた入院日数に対象が設定されています。
対象の疾患と入院上限について、くわしくは下記をご覧ください。
入院上限 | |
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、 多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症後若しくは手術後の状態又は義肢装着訓練を要する状態 | 150日 |
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷 | 180日 |
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態 | 90日 |
外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後又は発症後の状態 | 90日 |
大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後の状態 | 60日 |
股関節又は膝関節の置換術後の状態 | 90日 |
地域包括ケア病棟:
・急性期治療は終わったが、しばらく経過観察が必要な方
・在宅復帰・社会復帰にリハビリテーションまたは療養が必要な方
・在宅・介護施設等での療養中に症状が急に悪くなった方や、集中治療の必要はないが入院が必要な方
・介護疲れによる一時休息など、レスパイトが必要な方
【☝️ポイント】
回復期リハビリテーション病棟と違い、対象疾患や医療区分の縛りがありません。そのため、可能な限り、あらゆる状態の患者さんの受け入れに努めている点が特長です。
③入院日数の上限
回復期リハビリテーション病棟:
対象となる疾患や重症度により上限の日数は変わりますが、最長は、高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害などによる入院で、180日です。
※上記の図表を参考
地域包括ケア病棟:
状況によって入院日数は変わりますが、上限は60日です。病状が安定したら、ご自宅や施設へ復帰します。
④病棟で提供すること
回復期リハビリテーション病棟:
・1日のすべてがリハビリテーションにつながるような生活を提供
・「発症以前の状態まで回復」することと「早期の在宅復帰」を目指す
・脳卒中リハビリテーションを中心とした多職種協働の医療を推進し、チームアプローチの実践を徹底
・毎日、早朝から夜間まで、機能訓練に加え、ADL(日常生活動作)の改善
・早期在宅復帰を目指した生活再建、「人間性の回復」のリハビリテーションを提供
地域包括ケア病棟:
・患者さんが持つ疾患に対する治療
・患者さんの在宅復帰を支援するためのリハビリテーションを提供
・退院後の生活に合わせ、施設紹介や訪問看護、デイサービスなどの介護サービスのご提案など
※当院による一例です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
序盤で書いたように、どちらも急性期病院での治療後の在宅復帰を目指す病棟ですが、目的や機能に明確な違いがありました。
特定の疾患を持つ方に対し、集中的にリハビリテーションを行い、ADL改善に特化した回復期リハビリテーション病棟。
対象の疾患を設けず、より広く地域の患者さんの安心な在宅生活を支援する、地域包括ケア病棟。
普段はなかなか意識することのない内容ですが、今後の参考にしていただければ幸いです。
当院では、各職種が協働し、チーム医療で、患者さん一人ひとりの在宅復帰をサポートしています。
入院について当院までお気軽にご相談いただければと思います!
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